猛威を振るう新型コロナウイルス、金融業界への影響は?エキスパート4人に聞く

2020.04.03 業界分析

世界的に蔓延する新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受け、産業界では事業の停滞が避けられない状況となっています。しかし一方で、この危機の中で新たな事業機会を見つける業界や企業も見られるようになりました。

ミーミルでは、各業界における新型コロナウイルスの直近での業績影響や、来期以降への影響、新たに生まれる事業領域や特に打撃が深刻な領域などについて、エキスパートの皆様のご見解をお伺いする緊急サーベイを実施いたしました。

今回は銀行、証券会社、保険会社などを包含した金融業界を対象に、当該領域に専門性を有するエキスパート4名の方に、ご見解をお伺いしました。

 

エキスパート紹介:

1: 山岡浩巳 フューチャー株式会社取締役 兼 フューチャー経済・金融研究所長
 (元 日本銀行金融市場局長、元バーゼル銀行監督委員会委員)

2: 大手マーケティングリサーチ会社 シニアリサーチャー(FinTechなどを担当)

3: 野崎 浩成 東洋大学国際学部教授 (専門は金融論)

4: メガバンク 国際業務担当

 

設問内容:

Question1: 新型コロナウイルスによってもたらされる、金融業界での今期業績への影響をどうお考えですか?以下の5段階で評価してください。

強いマイナスインパクトがある(1点)<マイナスインパクトがある(2点)<影響はない(3点)<プラスインパクトがある(4点)<強いプラスインパクトがある(5点)

Question2: 新型コロナウイルスによってもたらされる、金融業界での来期業績への影響をどうお考えですか?以下の5段階で評価してください。

強いマイナスインパクトがある(1点)<マイナスインパクトがある(2点)<影響はない(3点)<プラスインパクトがある(4点)<強いプラスインパクトがある(5点)

 

今期は景気減速により、与信コスト増加および保有株式評価損益悪化などのマイナスインパクトが発生

今期:1.8点

今期の業績に対して、プラスのインパクトが生じる、または影響がないと回答したエキスパートはおらず、4名とも総じてマイナスのインパクトがあると回答しました。
今期の業績にマイナスのインパクトがあると評価した背景としては、「景気減速による有価証券の評価損計上や含み益の減少」「信用コストの発生や引当金の積み増し」「ドル調達コストの上昇」といった悪影響が既に見られているとの見解でした。
また、「不動産業界における融資案件の減少や引当金積み増しによる利益圧縮」や「航空機リースを子会社にもつメガバンクなどの保有株減損リスク」による金融事業へのネガティブな影響を懸念するエキスパートもいました。

 

来期影響は引き続きマイナスインパクトと予想されるが、新規需要による部分的なポジティブ要素も

 

来期:1.8点

来期の業績に関しては未だ不透明感が強いということもあり、今期同様に総じてマイナスインパクトがあるとの予想となりました。

プラスのインパクトがある、または影響がないと回答したエキスパートはおらず、マイナスインパクトがあると回答したエキスパートが3名、強いマイナスインパクトがあると回答したエキスパートが1名でした。

来期強いマイナスのインパクトがあると回答したエキスパート(3)は、今期はマイナスのインパクトがあると回答しており、予想を悪化させた形です。その理由として、来期以降より一層の与信コスト増加、資金需要の減少が懸念されることを挙げています。

今期に引き続き、来期もマイナスのインパクトがあると回答したエキスパート(1)は、「米国も実質的にゼロ金利を採用せざるを得なくなっていること」や、「コロナショックの前から米国では企業債務が積み上がり、ハイリスク債市場のスプレッドが過度に潰れており、その巻き戻しも収益に悪影響を及ぼすこと」「欧米・日本では、既にマイナス金利環境下で銀行収益は厳しい中、コロナショックは低金利環境のさらなる継続を余儀なくさせること」などを理由に挙げ、引き続きマイナスインパクトであるとの見解を示しました。

またエキスパート(2)も同じく来期もマイナスインパクトがあるとみており、「今期に続き与信費用が業績に影響を及ぼすため多少の影響があると考えられるものの、利益の大幅な減少はない」との見解です。
長期的にみた場合、「厳しい財務状況にある地方銀行にとってはコロナウイルスの影響が赤字転落のタイミングを早める可能性はあるのではないか」と懸念しています。

今期強いマイナスインパクトがあるとしたエキスパート(4)は、来期も同様にマイナスインパクトがあるとしつつも、「銀行の店舗ネットワークは鉄道会社に匹敵する好立地を確保しており、中期的には自社のみならずシェアオフィスやサテライトオフィス運営にて収益を獲得する機会になりえる」と若干の緩和を予想しています。

金融業界において今後どのように影響が広がっていくか、引き続き注視していく必要がありそうです。

 

次回の調査業界は「半導体」です。どうぞご期待ください。

 

ミーミルでは、各エキスパートの今期業績、来期業績への評価コメント全文をお読みいただけるホワイトペーパーをご用意しております。
ご関心のある方は以下よりダウンロードください。

※新型コロナウイルスによる影響:ホワイトペーパーダウンロードページ※

また上記の設問のほか、金融業界において事業機会が生じる領域(製品)や、反対に打撃をうける領域(製品)、金融業界のエキスパートからみた、影響が大きいと思われる業界についても同一調査内でご見解をお伺いしています。

全設問に対するご回答をお読みいただくためには、弊社Expert Opinionサービスのご契約が必要です。

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