新型コロナウイルス、金融業界への影響は?刻々と移りゆく情勢による今後の変化とは?エキスパート4人に聞く 

2020.07.17 業界分析

世界的に蔓延する新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受け、産業界では事業の停滞が避けられない状況となっています。しかし一方で、この危機の中で新たな事業機会を見つける業界や企業も見られるようになりました。

5月25日に全国の緊急事態宣言が解除され、感染の第2波に予断を許さぬ状態ではあるものの、徐々に経済活動も再開しつつあります。

ミーミルでは、各業界における新型コロナウイルスの直近での業績影響や、来期以降への影響、新たに生まれる事業領域や特に打撃が深刻な領域などについて、エキスパートの皆様に対する緊急サーベイを3月と5月の2度にわたり実施。エキスパートの皆様のご見解とその移ろいを追跡調査しました。

今回は銀行、証券会社、保険会社などを包含した金融業界を対象に、当該領域に専門性を有するエキスパート4名の方に、ご見解をお伺いしました。

今回は、5月25日の緊急事態宣言解除後のタイミングでお伺いした見解をご紹介させて頂きます。

エキスパート紹介:

1: 山岡浩巳 フューチャー株式会社取締役 兼 フューチャー経済・金融研究所長(元 日本銀行金融市場局長、元バーゼル銀行監督委員会委員)

2: 大手マーケティングリサーチ会社 シニアリサーチャー(FinTechやinsurTechなどの領域を担当)

3: 野崎 浩成 東洋大学国際学部教授 (専門は金融論)

4: メガバンク 国際業務担当 ※3月調査のみ

5: 大手外資系金融 マーケティングヘッド ※5月調査のみ

設問内容:

Question1:新型コロナウイルスによってもたらされる、金融業界での今期業績への影響をどうお考えですか?以下の5段階で評価してください。

強いマイナスインパクトがある(1点)<マイナスインパクトがある(2点)<影響はない(3点)<プラスインパクトがある(4点)<強いプラスインパクトがある(5点)

Question2:新型コロナウイルスによってもたらされる、金融業界での来期業績への影響をどうお考えですか?以下の5段階で評価してください。

強いマイナスインパクトがある(1点)<マイナスインパクトがある(2点)<影響はない(3点)<プラスインパクトがある(4点)<強いプラスインパクトがある(5点)

緊急事態宣言解除後も、業務変革への対応によるコスト上昇などのマイナスインパクトが続く

<Question1アンケート結果>

前回(3月調査):平均1.8点

今回(5月調査):平均1.8点

今期の業績に対して、プラスのインパクトが生じる、または影響がないと回答したエキスパートはおらず、4名とも総じてマイナスのインパクトがあると回答しました。3月調査と5月調査では、評価に変化はありませんでした。

背景としては、「景気減速による有価証券の評価損計上や含み益の減少」「信用コストの発生や引当金の積み増し」「ドル調達コストの上昇」といった悪影響は3月時点でも見られており、現在はコロナに対応する業務変革にかかるコスト増加なども懸念されるとの見解でした。

また、「不動産業界における融資案件の減少や引当金積み増しによる利益圧縮」や「航空機リースを子会社にもつメガバンクなどの保有株減損リスク」「消費及び投資マインドの減退」による金融事業へのネガティブな影響を懸念するエキスパートもいました。

営業活動再開もマイナス評価は変わらず、世界金融市場の動向に注視する必要あり

<Question2アンケート結果>

前回(3月調査):平均1.8点

今回(5月調査):平均1.8点

来期の業績に関しても、3月調査と5月調査での変化はありませんでした。未だ不透明感が強いということもあり、今期同様に総じてマイナスインパクトがあるとの予想となります。

来期強いマイナスのインパクトがあると回答したエキスパート(3)は、今期はマイナスのインパクトがあると回答しており、予想を悪化させた形です。その理由として、来期以降より一層の与信コスト増加、資金需要の減少が懸念されることを挙げています。

今期に引き続き、来期もマイナスのインパクトがあると回答したエキスパート(1)は、「米国も実質的にゼロ金利を採用せざるを得なくなっていること」や、「コロナショックの前から米国では企業債務が積み上がり、ハイリスク債市場のスプレッドが過度に潰れており、その巻き戻しも収益に悪影響を及ぼすこと」「欧米・日本では、既にマイナス金利環境下で銀行収益は厳しい中、コロナショックは低金利環境のさらなる継続を余儀なくさせること」などを理由に挙げ、引き続きマイナスインパクトであるとの見解を示しました。さらに、「コロナ後の世界金融市場の動向」が2021年以降の潜在的に懸念されるとしています。

またエキスパート(2)は、「今期に続き与信費用が業績に影響を及ぼすため多少の影響があると考えられるものの、利益の大幅な減少はない」が、長期的にみた場合、「厳しい財務状況にある地方銀行にとってはコロナウイルスの影響が赤字転落のタイミングを早める可能性はあるのではないか」と懸念しています。緊急事態宣言の解除により営業活動の制約が取れたものの第2波第3波によっては再び重石となる可能性もあるという見解でした。

今期強いマイナスインパクトがあるとしたエキスパート(5)は、来期も同様にマイナスインパクトがあると判断、対面アドバイスが難しくなることから、「長期的な需給サイクルに影響あり」と予想しています。

金融業界において今後どのように影響が広がっていくか、引き続き注視していく必要がありそうです。

 

 

ミーミルでは上記の設問のほか、金融業界において事業機会が生じる領域(製品)や、反対に打撃をうける領域(製品)、金融業界のエキスパートからみた、影響が大きいと思われる業界についても同一調査内でご見解をお伺いしています。

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