新型コロナウイルス、小売/Eコマース業界への影響は?刻々と移りゆく情勢による今後の変化とは?エキスパート4人に聞く

2020.07.17 業界分析

世界的に蔓延する新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受け、産業界では事業の停滞が避けられない状況となっています。しかし一方で、この危機の中で新たな事業機会を見つける業界や企業も見られるようになりました。

5月25日に全国の緊急事態宣言が解除され、感染の第2波に予断を許さぬ状態ではあるものの、徐々に経済活動も再開しつつあります。

ミーミルでは、各業界における新型コロナウイルスの直近での業績影響や、来期以降への影響、新たに生まれる事業領域や特に打撃が深刻な領域などについて、エキスパートの皆様に対する緊急サーベイを3月と5月の2度にわたり実施。エキスパートの皆様のご見解とその移ろいを追跡調査しました。

今回はGMS、百貨店、ドラッグストア、Eコマースなどを包含した小売業界を対象に、当該領域に専門性を有するエキスパート4名の方に、ご見解をお伺いしました。

今回は、5月25日の緊急事態宣言解除後のタイミングでお伺いした見解をご紹介させて頂きます。

エキスパート紹介:

1: 大手外資/EC企業 リテールビジネス(カー&バイク用品カテゴリーを担当) ※3月調査のみ

2: 小売業 常務取締役管理担当 ※3月調査のみ

3: 大手小売 経営企画部門 部長

4: 大手カジュアル衣料品小売 EC部門スペシャリスト

5: 西恵一郎 株式会社グロービス クライアント・ソリューション部門 マネージング・ディレクター

6: 郡司 昇 店舗のICT活用研究所 代表 (IT企業が持つ技術の小売業活用・メーカー価値創造と小売業のデジタルトランスフォーメーションのコンサルタント)

設問内容:

Question1:新型コロナウイルスによってもたらされる、小売/Eコマース業界での今期業績への影響をどうお考えですか?以下の5段階で評価してください。

強いマイナスインパクトがある(1点)<マイナスインパクトがある(2点)<影響はない(3点)<プラスインパクトがある(4点)<強いプラスインパクトがある(5点)

Question2:新型コロナウイルスによってもたらされる、小売/Eコマース業界での来期業績への影響をどうお考えですか?以下の5段階で評価してください。

強いマイナスインパクトがある(1点)<マイナスインパクトがある(2点)<影響はない(3点)<プラスインパクトがある(4点)<強いプラスインパクトがある(5点)

EC拡大は進むが、以前のような需要が急回復する見込みは薄く、マイナス影響は必至

<Question1アンケート結果>

前回(3月調査):平均1.7点(6名平均)

今回(5月調査):平均1.3点(4名平均)

プラスのインパクトが生じると回答したエキスパートは5月調査に回答した4名の中にはおらず、マイナスのインパクトがあると回答したエキスパートは1名、強いマイナスインパクトがあると回答したエキスパートは3名でした。

3月調査と比較すると、5月調査では、今期業績について強いマイナスインパクトからマイナスインパクトへと評価を緩和させたエキスパートが1名、変化なしが3名という結果でした。

小売業の今期の業績にマイナスインパクトを与える要素として「百貨店、都市型商業施設などは大きく影響を受ける」「消費者の収入減と自粛による消費マインドの低下」「店舗小売とEコマースがオムニチャネルで一体化していない企業では、店舗小売に甚大な悪影響が出る」などの声が上がっています。

また、エキスパート(4)は、EC化率の高い企業、EC専業にとっては追い風ではあるものの、業界全体の実店舗のマイナスをカバーするには及ばないという見解を示しています。

インバウンドの回復がカギとなるが、先行き不透明感によりマイナス評価傾向が強い

<Question2アンケート結果>

前回(3月調査):平均1.8点(6名平均)

今回(5月調査):平均1.5点(4名平均)

 

 

5月調査では、来期業績に関して強いマイナスインパクトからマイナスインパクトにシフトしたエキスパートが1名、逆に、マイナスインパクトから強いマイナスインパクトへと評価を悪化させたエキスパートが1名。プラスのインパクトがあると予想するエキスパートは、5月調査に回答した4名の中にはいませんでした。

今期来期ともに強いマイナスインパクトがあると予想したエキスパート(3)は、来期の予想を5月調査で悪化させています。その理由は、政府の経済対策や延期された東京オリンピックの実施などがポジティブ材料であるものの、経済的なダメージが残り特に都市部商業施設などでの消費に引き続き影響があるとの見立てによるものです。

同じく強いマイナスインパクトがあるとしたエキスパート(6)は、「特にアパレル業態においてはECと一体化しているかどうかで回復できるかどうかが分かれる」「ドラッグストアは従業員の疲弊が激しく、先々の従業員確保が難しくなる」とみています。

来期はマイナスインパクトがあると予想したエキスパート(4、5)は、「訪日客の復活が左右するが、オリンピックの開催有無や世界的経済の停滞など不透明な要素が多い」「国内・国外からの人の動きが制限される事による影響だけでなく、今後の企業業績の悪化による給与・ボーナスの減少、失業者増加による国内の消費力の落ち込みなど、構造的に小売業が伸びる要素が少ない」「ワクチンのリリースがなされないと、2021年以降も消費が落ち込む」などの指摘をしています。

小売/Eコマース業界において今後どのように影響が広がっていくか、引き続き注視していく必要がありそうです。

 

 

ミーミルでは上記の設問のほか、小売/Eコマース業界において事業機会が生じる領域(製品)や、反対に打撃をうける領域(製品)、小売/Eコマース業界のエキスパートからみた、影響が大きいと思われる業界についても同一調査内でご見解をお伺いしています。

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ご関心のある方はご説明資料をお送りいたしますので、以下よりお問い合わせください。

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