新型コロナウイルス、半導体業界への影響は?刻々と移りゆく情勢による今後の変化とは?エキスパート5人に聞く

2020.07.17 業界分析

世界的に蔓延する新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受け、産業界では事業の停滞が避けられない状況となっています。しかし一方で、この危機の中で新たな事業機会を見つける業界や企業も見られるようになりました。

5月25日に全国の緊急事態宣言が解除され、感染の第2波に予断を許さぬ状態ではあるものの、徐々に経済活動も再開しつつあります。

ミーミルでは、各業界における新型コロナウイルスの直近での業績影響や、来期以降への影響、新たに生まれる事業領域や特に打撃が深刻な領域などについて、エキスパートの皆様に対する緊急サーベイを4月と5月の2度にわたり実施。エキスパートの皆様のご見解とその移ろいを追跡調査しました。

今回は、中国、韓国、台湾、日本など東アジアの国々がその製造を牽引している半導体業界を対象に、当該領域に専門性を有するエキスパート5名の方に、ご見解をお伺いしました。

今回は、5月25日の緊急事態宣言解除後のタイミングでお伺いした見解をご紹介させて頂きます。

エキスパート紹介:

1: 外資系大手アナログ、デジタル半導体メーカー 製品設計開発部門Marketing担当(主に日本市場におけるビジネスデベロップメントを担当)

2: 大手半導体製造装置メーカー 開発部門 開発企画を担当

3: 半導体製造装置メーカー  開発部門 課長(ビッグデータ・AIを担当)

4: デバイスメーカー 顧問(専門は半導体製造に関する技術全般)

5:  Tier1メーカー パワー半導体開発部門 課長

 

設問内容:

Question1:新型コロナウイルスによってもたらされる、半導体業界での今期業績への影響をどうお考えですか?以下の5段階で評価してください。

強いマイナスインパクトがある(1点)<マイナスインパクトがある(2点)<影響はない(3点)<プラスインパクトがある(4点)<強いプラスインパクトがある(5点)

Question2:新型コロナウイルスによってもたらされる、半導体業界での来期業績への影響をどうお考えですか?以下の5段階で評価してください。

強いマイナスインパクトがある(1点)<マイナスインパクトがある(2点)<影響はない(3点)<プラスインパクトがある(4点)<強いプラスインパクトがある(5点)

市場全体の需要低迷の影響が大きいとの声が多い一方で、需要回復分野も見込まれる

<Question1アンケート結果>

前回(4月調査):平均2.0点

今回(5月調査):平均2.2点

5月調査ではプラスインパクトがあると回答したのは1名、マイナスのインパクトがあると回答したのは3名、強いマイナスインパクトがあると回答したエキスパートは1名でした。今期業績に関してより悲観的な見立てにシフトしたエキスパートが1名、プラスの要因を見出されて楽観的な見立てにシフトしたエキスパートが1名という結果となりました。

4月調査では今期の業績に影響がないと予想し、5月調査ではマイナスインパクトがあるとシフトしたエキスパートは、「車載関連において生産台数の大きな調整が行われつつあり、その影響が9月以降に及んでくることが予想される」と見解を変化させています。

今期の業績にマイナスのインパクトがあると回答したエキスパートは、「最終需要の落ち込みに伴う影響は避けられない」、「3月にアジアの海外子会社が操業停止に追い込まれた」といった見解でした。

強いマイナスインパクトがあると回答したエキスパートは、近年多くの半導体部品が搭載されるようになった自動車産業で世界的に生産調整が入っており、その煽りを受けて強いマイナスの影響が出るだろうと予想しています。

一方で、4月調査ではマイナスインパクトがあると回答し、5月調査でプラスインパクトがあると見解を変化させたエキスパートは、「メモリ向け需要の回復で前期以上の業績となると予想される」と、総じてみるとプラスインパクトに着地するとみています。

感染ピークと回復傾向が見えず、悲観的な見立てが中心に

<Question2アンケート結果>

前回(4月調査):平均1.8点

今回(5月調査):平均2.0点

5月調査では、来期業績に関してポジティブな見立てにシフトしたエキスパート1名、マイナスの影響があると予想するエキスパートの中でも、強い影響か否かで見解を変化させたエキスパートが2名という結果でした。また、来期の業績は今期より厳しさを増すと予想する傾向は4月調査と5月調査で変わりませんでした。

プラスインパクトがあると回答したのが1名、マイナスインパクトがあると回答したのが2名、強いマイナスインパクトがあると回答したのが2名。

今期と同様、プラスインパクトがあると予想するエキスパート(2)は、「コロナによる需要低下から回復途上にある2021年には通信インフラ用やデータセンター用のロジックやメモリの需要は伸びる」という見解を示しています。

エキスパート(3)は、「ピークが見えない現状から経済が上向いてくるのは2021年の後半になるのではないか」との見解、エキスパート(4)は、「ユーザーセットメーカーにおいて需要の減速と工場稼働率の低下は避けられない」ことを背景にマイナスインパクトを予想しています。

エキスパート(1)は、世界的なコロナウイルス感染の終息が5月時点で未だ見えず、特効薬も開発途上という状況を鑑み、「経済回復には思った以上に時間がかかる」として、来期の評価を4月調査よりも悪化させました。また今期に引き続き、来期でも強いマイナスインパクトを予想したエキスパート(5)は、「人々の需要減退により必然的に自動車需要も底冷えする」ことが要因であると4月調査時から一貫して指摘しています。

半導体業界において今後どのように影響が広がっていくか、引き続き注視していく必要がありそうです。

 

 

ミーミルでは上記の設問のほか、半導体業界において事業機会が生じる領域(製品)や、反対に打撃をうける領域(製品)、半導体業界のエキスパートからみた、影響が大きいと思われる業界についても同一調査内でご見解をお伺いしています。

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