【業界分析:ファクトリーオートメーション(FA)】市場規模の拡大と注目の技術分野。および主要プレイヤーの動向

2017.12.31 業界分析

ファクトリーオートメーションとは?

ファクトリーオートメーション(以下、FAと呼びます)とは、一言で言うと工場を総合的に自動化することを指します。

日本工業規格(JIS)の定義によると、FAとは「工場の生産機能を構成する要素(生産機器、搬送機器、保管機器など)及び生産行為(生産計画、生産管理など)を統合化し、総合的に自動化を行うこと」とされています。

FAの一般的な仕組みは、次のようになります。まず、製造ラインの状態をFA用センサで検出し、FA用測定器を経由して、コンピュータコントローラなどに情報を送ります。送られた情報は、必要によりパッケージソフトウェアで処理され、アクチュエータに処理された情報が送られます。後はアクチュエータが、製造ラインに制御指令を送ると言う流れになっています。

 

図:FAの一般的な仕組み

出所:日本電気計測器

 

パッケージソフトウェアには、業務計画システムと製造実行システムの2種類が主に存在します。

業務計画システムには、一般的にERP(Enterprise Resource Planning)が用いられています。ERPは、受注、生産、販売というような事業の流れや経営、人事などの企業の業務機能をソフトウェアで統合して管理するシステムを指します。ERPを用いることで、企業の経営資源に応じて生産状態を操作することができます。

製造実行システムには、一般的にMES(Manufacturing Execution System)が用いられています。MESはERPから送られてきた指令に基づいて実際の製造を制御するシステムです。 ERPが企業の経営を一元管理するシステムなのに対して、MESは生産活動におけるQCD(品質、コスト、納期)を一元管理するシステムだと言えます。

 

FA世界市場は2022年に向け、IoTプラットフォームを始め急激に拡大

世界のFA市場は、2015年時点で1兆9800億円規模です。今後も世界市場では同業界は拡大し、2022年には3.5倍の6兆9616億円規模になるといった見方もあります。(富士経済グループ)

カテゴリー別の内訳としては、インテリジェント生産システムやIoT(Internet of Things)プラットフォームが高くなっています。特に、IoTプラットフォームは2015年対比で111倍と、非常に高い成長が見込めます。インテリジェント生産システムはERPやMES、ラインシュミレータなどといった生産管理、情報システムが該当します。また、IoTプラットフォームはICTを活用した次世代型製造現場を指します。IoTプラットフォームでは、製造ラインの様々な情報をICTシステムにより分析することなどにより、QCDを最適化することを目指しています。例えば、日立製作所のIoTプラットフォームである「Lumada」では、現場の設備の制御データとERPなど基幹システムのビジネスデータを統合し、統合したデータを人工知能やアナリティクスを通して分析することで、設備の適切な制御を行うことができます。

出所:富士経済グループ

 

川上から川下までカバーできるトータルソリューションが競争のカギ

FA業界は、仕組みが複雑なため、様々な製品分野が存在します。そのため、各製品分野に異なる企業が参入することが一般的でした。

ただし、工場の自動化が進み、工場全体を一つの自動システムにすることもできるようになりました。そのため、FA用センサから製造実行システム、業務計画システムを統合して提案できるプラットフォームの構築が競争力に大きく影響するようになっています。

プラットフォームの構築については、FAの代表的プレイヤーである日立製作所や三菱電機、オムロンなどは情報システムから出力系機器までフルラインナップで揃えています。一方、ファナックなどフルラインナップが難しいプレイヤーも、複数の企業で共同してプラットフォームを開発することが多くなっています。

 

主要プレイヤー

日立製作所

日立製作所の強みは、基幹系業務から生産計画系、生産設備までを一括のトータルソリューションで提供できることです。

また、化学・食品製造向けや医薬品製造、自動車製造など、各業界向けに特化したMESパッケージを取り揃えていることも特徴です。

また、前述したように、同社が近年展開しているIoTプラットフォームである「Lumada」も注目に値します。Lumadaを用いることで、マシンデータやヒューマンデータなどのOT(Operational Tecknology)アセットとビジネスデータなどのITをエンドツーエンドでつなぐことができるとされています。

三菱電機

三菱電機の強みは、多種多様なFA機器とFAシステムをトータルで提供していることです。

FA機器では国内トップシェアのシーケンサ(PLCの同社商品名)を筆頭に、制御機器、駆動機器、省エネ支援機器、配電制御機器から産業メカトロニクスまで、多様な商品ラインナップを保持しています。

FAシステムに関しては、FA統合エンジニアリングソフトウェア製品群である「MELSOFT」、さらに「MELSOFT」を含むFA統合プラットフォームとして「iQ Platform」を提供しています。「iQ Platform」は製造ラインの制御を行うコントローラやエンジニアリング環境、ネットワークを統合・連携するプラットフォームです。

また、「iQ Platform」を基盤としたFA統合ソリューションとして、「e-F@ctory」を提供しています。「e-F@ctory」では「Lumada」と同様に、現場の設備の制御データを、高度な分析能力を持つICTシステムで収集し、分析結果を設備の制御に活用することができます。

オムロン

オムロンは技術的に優位にあるセンシング技術とコントロール技術を活用したFA用センサや制御用コントローラを強みとしています。他にも、産業用制御機器を始めとしたFA関連機器を多く提供しています。

また、同社はFAの構築に必要な様々な機器を一つに繋いで制御し、一つのソフトウェアで管理するというコンセプトの「Sysmacオートメーションプラットフォーム」を提供しています。「Sysmacオートメーションプラットフォーム」では、制御ネットワークに接続された機器と製造現場のICTネットワークをシームレスに接続することができることはもちろんのこと、制御ソフトウェアである「Sysmac Studio」で一元的に操作が可能です。

ファナック

ファナックは、生産工程における状況をコンピュータで数値制御するCNCシステムと、CNCシステムの技術を基にした機器を強みとしてFA業界に参入しています。

また、同業他社と比べて同社は高い利益率を誇っていることが特徴としてあげられます。これは、商品の標準化による低コスト化や、高い市場シェア、シェアを維持するための広いサービス網が利益率に大きく寄与しているためです。

同社は、CNCに特化した事業の性質上、単体でFAのプラットフォームを提供することは難しくなっています。そのため、同社はCisco Systems、Rockwell Automation、Preferred Networksとプラットフォームの開発で協業しています。これらの企業は共同で、CNCと制御ネットワーク上の機器を接続して製造・生産を最適化するためのアナリティクスを提供するプラットフォーム、「FANUC Intelligent Edge Link and Drive (FIELD) system」を開発しています。またこのFIELD systemには2016年7月にNTTおよびNTTコミュニケーションズ、NTTデータのNTTグループ3社が参加して協業することが公表されました。