【業界分析:ファストフード】ファストフードの市場規模と動向。フランチャイズ展開において重要な3つの要素

2017.08.17 業界分析

二極化するハンバーガー市場?シェイク・シャックをはじめとする高級ハンバーガーチェーンの日本上陸

近年、海外発の高級バーガーが日本に相次いで進出しています、手軽で安価なファストフード、ハンバーガーのイメージも変わりつつあります。

2017年3月、米国のハンバーガー「UMAMI BURGER」が東京・青山に日本1号店をオープンしました。同社は2009年にロサンゼルスで1号店をオープンしており、米Timeの「史上最も影響力のある17のハンバーガー」にも選ばれました。

2016年3月、米国の「カールスジュニア」が秋葉原に1号店をオープンしています。同社は1941年の創業で、米国でもバーガーキングやウェンディーズに次ぐ規模の店舗数を展開している大手チェーンです。

2015年11月、米国のニューヨーク発ののハンバーガーチェーン、「シェイク・シャック」が明治神宮外苑に1号店をオープンしました。その後は恵比寿や有楽町店など日本でも出店が続いており、行列もできる人気になっています。シェイク・シャックは、2000年にマディソン・スクエア公園の屋台が始まりで、2015年に上場しています。

これまでは安価で手軽な印象だったハンバーガーも、消費者ニーズの多様化を受けて、高級なイメージで展開するチェーンも日本に進出し、消費者からも受け入れられているように見えます。従来のファストフードのイメージを覆す、先進的なライフスタイルとして受け入れられているチェーンなど、変化しつつあるファストフード業界について取り上げます。

 

ファストフードの業態:フランチャイズ展開によって効率よく店舗拡大を実現

店舗を拡大していくことで、コスト削減効果を上げ、認知度を高めていく必要のあるファストフード、同業界では多くの企業が効率よく店舗拡大が可能なフランチャイズ展開をしています。こうしたフランチャイズ展開をしているファストフード企業では、直営店の売上とフランチャイズ店からのロイヤリティーの合計が全体の売上となっています。

こうした仕組みは、1971年のマクドナルドの日本の進出もきっかけとなって、米国から日本に導入されています。

既に市場も成熟化している日本ではハンバーガーのみならず、カレー・牛丼・ラーメン・餃子・アイスクリームや持ち帰り寿司など、多様なファストフードの店舗が今では存在しています。また、消費者からは手軽で安価なランチでのニーズが多い点でいえば、一部ではコンビニエンスストアなどとも競合関係になっているといえるでしょう。

 

各社の戦略について。戦略上重要な「商品コンセプト」「価格」「店舗開発」

ファストフードでの各社の戦略を見た場合、「商品コンセプト」「価格」「店舗開発」が重要といえます。ファストフードといえば、その手軽感、安さが魅力と考える方も多いことでしょう、まず頭に浮かぶのが、価格戦略です。

低価格競争と、高価格商品などの商品コンセプトの変化

主として手軽で安価なランチとしての利用が広がっているファストフード。一時期は牛丼チェーンの低価格競争なども話題になりました。このように一般的には、薄利多売での展開、すなわち値下げを行って、他のチェーンやコンビニなどから顧客を獲得して価格を低下した分を補っていく形で展開されています。ただし、最近はマクドナルドや牛丼チェーンでも高価格商品を提供したり、商品の価格帯の多様化、高価格化が進んでいるように見えます。

ファストフード各社も低価格競争のみではなく、カフェニーズを取り込んだり、健康志向に合わせたり、商品の多様化も進んでいます。

重要な店舗開発の戦略

また、店舗開発もファストフードの戦略上重要な要素の一つです。

店舗立地は、大きく駅前と郊外に分かれます、さらには商業施設内での出店などもあります。米国では、ドライブスルーなど郊外の店舗が中心でしたが、日本ではマクドナルド一号店が銀座であったことからもわかる通り、都心部から発展しています。

世界展開ではローカライズ戦略も重要に

なお、ファストフードチェーンの世界展開にあたっては、ローカライズ戦略が重要とされています。現地の嗜好に合わせた商品の開発も重要である一方、グローバルブランドとしての品質の標準化のバランスも考える必要があります。グローバル展開しているからこそのコスト優位性の確立のため、原材料の世界的な調達体制を整えていく必要があり、それらの店舗への配送、流通もますます重要になっていきます。

 

ファストフード世界市場は中国など市場拡大は継続していく見込み

世界のファストフード市場は、2015年で5,700億ドル規模(FranchiseHelp)です。今後も世界市場では同業界は拡大し、2020年には6,500億ドル規模になるといった見方もあります。

米国について、ファストフード市場を含む「簡易サービスを提供する食堂(Limited service eating places)」の市場を見ると、2015年度で2,711億ドル規模で、直近では成長率は鈍化したものの、一時期の成長鈍化を経て、近年では再び成長率が回復しつつあります(米国国勢調査局)。

 

米国のレストラン(簡易サービス)の売上推移

出典:米国国勢調査局

 

なお、今後の市場の成長をけん引していくとみられている中国では、ファストフードチェーン企業の店舗数は大きく成長している一方で、店舗あたり売上高は減少傾向にあるようです。中国では、日本と同様、初期的には都市部で比較的高単価で展開し、その後郊外へと店舗拡大をしていっているため、拡大とともに顧客単価が下がっているのかもしれません。

飲食産業の規模としては、ファストフードの市場拡大はまだまだ見込めるといえます。

 

タコベルなど、米国での人気のファストフードチェーン

ファストフードの本場である米国ですが、近年では各社とも品質が高く、健康に良い商品の提供に注力している傾向にあるようです。日本における米国発の高級バーガーの進出もそうした流れを受けているのかもしれません。

2015年のチェーンレストランTOP50(Nation’s Restaurant News)をみると、米国のフードサービスチェーンでは、マクドナルド、スターバックスと続くように、多くの顔ぶれは既に日本でも一般化し、馴染みのチェーンが多いことがわかります。

ただし、タコベル、チックフィレイなどはまだ日本では一般的ではないかもしれません。タコベルはタコスなどのメキシコ料理を提供していますが、既に日本にも数店舗ほど進出しています。今後、こうしたメキシカンフードといった新しいカテゴリが、どの程度日本で受け入れられるのでしょうか。

米国のトップチェーンレストラン(上位の抜粋)

  • マクドナルド(ハンバーガー)
  • スターバックス(カフェ)
  • サブウェイ(サンドイッチ)
  • バーガーキング(ハンバーガー)
  • ウェンディーズ(ハンバーガー)
  • タコベル (メキシカン)
  • ダンキンドーナッツ(ドーナツ)
  • チックフィレイ(チキン)
  • ピザハット(ピザ)
  • アップルビーズ ネイバーフッド グリル&バー(カジュアル)

出典:Nation’s Restaurant News 2015年

「アップルビーズ ネイバーフッド グリル&バー」も日本では馴染みがないですが、フルサービス・カジュアル・ダイニングで、全米に店舗のある大手チェーンです。チキンやハンバーガー、サンドイッチやグリルなど提供しています。

 

国内ファストフード市場:カテゴリ別ではハンバーガーチェーンの店舗売上高が高い

国内市場をみてみると、ファストフードの市場規模は2015年に2兆9,453億円。ここ数年では成長率は鈍化している傾向にありますが市場規模は2016年には3兆円に達するとみられています。カテゴリ別にみると、国内で大きな市場としては、ハンバーガー、牛丼、回転ずしがあげられ、いずれも2016年は成長見込みです。

国内では、ハンバーガー、回転ずしは6,000億円規模、牛丼は客単価の上昇が落ち着き、2016年は微増ですが3,600億円の市場規模です。(富士経済)

ファストフードのカテゴリ別の市場規模

出典:富士経済

なお、富士経済でも、今後注目される業界として、「プレミアムハンバーガー」があげられています。客単価1,000円以上1,500円未満のチェーンを対象としたプレミアムハンバーガー市場ですが、その市場規模も2015年の58億円から2016年は72億円と大きく成長していく見込みです。

ハンバーガーからカレー、牛丼、ラーメンなど様々なカテゴリのあるファストフード業界ですが、カテゴリによって店舗当たりの売上高はどの程度異なるのでしょうか。店舗あたりの売上高を見た場合、ファストフードの中では、ハンバーガーが群を抜いて高いことがわかります。

2015年の店舗当たり売上で見た場合、ハンバーガーが1億円台であることに対して、カレー・牛丼が7,000万円、持ち帰り寿司、ラーメン・餃子は5,000万円前後の水準となっています。

 

ファストフードのカテゴリ別の店舗当たり売上高

出典:日本フランチャイズチェーン協会

このように国内でも消費者ニーズの多様化が進んでおり、それらに合わせてメニューを絞ったやや高級な外食店や「地産地消」の店舗の出店も進んでいるようです。

アジアなど海外進出も拡大傾向にあり、日本発のグローバルなフランチャイズチェーン展開も期待されています。