【業界分析:IoT(Internet of Things)】ファクトリーオートメーション(FA)におけるIoTプラットフォームの分析と業界アライアンスの動向

2018.02.01 業界分析

近年、工場とインターネットの連携を進めるスマート工場化が大きく注目を浴びています。

ファクトリーオートメーション(FA)の業界分析の記事では、ファクトリーオートメーション(以下、FAと呼びます)の概要から近年の市場の動向まで、具体的なプレイヤーの説明も交えつつ述べました。今回はFA市場の中でも最も成長性が高いIoT(Internet of Things)プラットフォームの分野についてみていきます。

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急速に進む工場のスマート化。そのメリットとは

生産現場にセンサーネットワークを敷き、生産現場の情報をサイバー空間と結びつける工場のIoT化。

日本では、工場内のあらゆる機器、あるいは工場と工場を通信で常時つなげ、IoT化することで生産革新を実現する次世代型の工場のことを「スマート工場」と呼称することが多くなっています。

スマート工場では、インターネットを通じて品質や状態などの生産現場の情報を「見える化」し、仮想世界でビックデータ解析を行うことで、設備同士や設備と人が協調して動作することを可能にしています。

このように「自ら考えて生産・管理する工場」であることが、スマート(賢い)工場と言われる所以です。

スマート工場化のメリットとしては、生産効率化につながることはもちろん、顧客のニーズに細かく対応できるようになることも挙げられます。

スマート工場ではデータ分析の結果を反映できるように柔軟な設備システムが組まれており、今まではオーダーメイドで高価格生産していたものが大量生産とさほど変わらない価格で生産できるようになります。

スマート工場構築のためのIoTプラットフォームとしては、日立製作所の「Lumada」や三菱電機の「e-F@ctory」などが挙げられます。

いずれも、生産現場のデータを、クラウドを通じてビックデータ解析することで、設備同士や設備と人の協調を補佐することを目的としています。

 

通信規格はフィールドバスとEthernetの二強。Ethernetの普及続く

工場におけるネットワークには、「工場の中の機器をネットワークでつなぐ」ことと「生産現場と工場の外にあるサーバーや他の工場を、クラウドを介してつなぐ」ことの二種類の役割があります。

そのためスマート工場を構築するためには、前提として「工場の中の機器をネットワークでつなぐ」ことと「生産現場と工場の外にあるサーバーや他の工場を、クラウドを介してつなぐ」ことが必要になります。そのため、工場の中にネットワークを張りめぐらせることになります。

HMSの調査によると、2016年のFAにおける通信規格市場はフィールドバス、産業用Ethernet、Wirelessに分かれています。

市場規模構成比は、フィールドバス58%、産業用Ethernet 38%、Wireless 4%と推定されています。

フィールドバスとは、工場内での計測・制御機器間でのデジタル通信を主としたネットワークのことです。

つまり、「生産現場と工場の外にあるサーバーや他の工場を、クラウドを介してつなぐ」ことを意図しない「工場の中の機器をネットワークでつなぐ」ための通信規格になります。

フィールドバスには、三菱電機の「CC-Link」や安川電機の「MECHATROLINK」、Siemens(DEU)主導の「PROFIBUS/PROFINET」、Rockwell Automation(ロックウェル・オートメーション、USA)の「DeviceNet」などが挙げられます。

ただし、フィールドバスにおける主流規格であるRS485は1960年代に開発された規格なため、どうしても通信そのもののパフォーマンスの限界が指摘されるようになっています。

一方、産業用Ethernetは、オフィスまたは家庭用のLAN(Local Area Network)技術として従来用いられてきたEthernetを産業用に応用したものです。

産業用Ethernet自体は1990年代から存在しましたが、制御のためのリアルタイム性や、粉塵や温度など厳しい環境の工場での耐性に懸念があったため、あまり普及しませんでした。

しかし、技術の対応により徐々にそうした懸念は解消され、産業用Ethernetはフィールドバスに代わる次世代の通信規格として現在注目されるようになってきました。

産業用Ethernetはフィールドバスより高い通信速度を誇るだけでなく、オフィス・家庭で使う通信規格と同様の規格のため「生産現場と工場の外にあるサーバーや他の工場を、クラウドを介してつなぐ」ことが可能になります。

産業用Ethernetには、三菱電機の「CC-Link IE」や日本電機工業会の「FL-net」、EtherCAT Technology Group(ETG)の「EtherCAT」が挙げられます。

特に、「EtherCAT」はトヨタ自動車が2016年4月に工場に全面採用すると発表し、大きな話題を呼びました。

 

IoTの普及を目指したアライアンス

ここまで、FA分野でのIoTの導入による工場のスマート化を見てきました。

しかし、IoTの普及が進んでいるのは、FA分野に限りません。

近年は様々な業界アライアンスが世界で設立されており、分野を超えたIoTの普及が図られています。

業界アライアンスは3つのグループに分かれています。

米国のIndustrial Internet Consortium(IIC)やドイツのIndustrie4.0などを中心とする異業種エコシステム系、Qualcomm(USA)やMicrosoft(USA)が中心のASA(All Seen Alliance)などのリーダー企業中心系、日本の産学連携コンソーシアムNGM2M(New Generation Machine to Machine)などの同業種・同分野チーム系です。

出所:日立製作所作成、総務省情報通信審議会資料「IoT/M2Mの技術標準化、業界アライアンス最新動向

 

上記の表を見ると、対象分野は製造業以外にも多岐に渡っていることがわかります。FAにおけるIoTの導入は今後も急速に増加していくことが予想できますが、他分野においても大きな可能性を秘めていると言えそうです。