【業界分析:市場調査サービス市場】国内の業界2強。マクロミルとインテージホールディングス。市場調査業界の市場規模と動向

2017.07.22 業界分析

マクロミルの非上場化と2017年の再上場

既に述べたようにパネル調査とアドホック調査で大きく手法が変わるように、業界でもそれぞれの会社によって、調査手法や事業内容が異なります。パネル調査市場では、インテージホールディングスが圧倒的なポジションを占め、アドホック調査市場ではマクロミルが有力です。

マクロミルは、アドホック調査、ネットリサーチ国内最大手で、2014年に上場廃止し、そして2017年に再上場しました。

市場調査を、ネットリサーチで安く提供するところからはじめたマクロミル。ベインキャピタルによって、約500億円で買収された後、2014年にオランダのMetrixLabの買収など、海外事業の拡大によって成長を実現、今後もさらなるグローバル展開を加速していく見込みです。このように、国内市場の成熟を受けて、多くの市場調査会社が成長戦略として海外を志向しています。

また、別の動きとしては2014年にケアネットと合弁でマクロミルケアネットを設立。ケアネットが持つ医師リサーチパネルを獲得しています。製薬企業向けの調査は、年々複雑化、高度化していく中、医療分野専門の市場調査を提供しています。

国内の業界2強。マクロミルとインテージホールディングス

国内では、マクロミルとインテージホールディングスが市場調査業界では大きな存在感を示しています。

ただ、既に述べた通りネットリサーチ、アドホック調査が中心のマクロミルに対して、パネル調査がメインのインテージホールディングスと事業内容は大きく異なります。

売上高規模でみると、直近の実績ではマクロミルの売上高320億円(2016年6月期)に対して、インテージホールディングスは480億円(2017年3月期)とインテージホールディングスが上回りますが、EBITDAで見た場合は、マクロミルが上回っており、収益性が大きく異なることがわかります。さらに、直近での事業の成長性としてもインテージホールディングスが微増に対して、マクロミルは高い成長性が見込まれており、時価総額でみるとマクロミルの920億円(2017年6月時点)に対してインテージホールディングスが434億円(2017年6月時点)と2倍程度の差がついており、最近上場したマクロミルの市場での高い評価が伺えます。

マクロミルの2016年度の売上高は325億円(内訳はマクロミル258億円、MetrixLabが67億円)。利益率は、マクロミル20%に比べてMetrixLAbが11.2%と全体的に足を引っ張っているものの、売上高・利益率はともに上昇傾向にあります。

マクロミルの業績推移

インテージホールディングスの業績推移

出典:各社の有価証券報告書

次にインテージホールディングスの直近でのセグメントの売上高、営業利益をみると、マーケティング・リサーチの消費財向けとヘルスケアで分かれており、売上高への貢献としては消費財・サービス向けが大きいものの、収益貢献ではヘルスケアが非常に大きいことがわかります。

マクロミルでも、前述の通りヘルスケア領域の強化がみられますが、インテージホールディングスにおける一般用医薬品・医療用医薬品の市場調査や、製薬企業からの委託での医薬品開発をサポートするCRO(医薬品開発業務受託機関)業務の事業の重要性が伺えます。

インテージホールディングスのセグメント別業績(2017年3月期)

出典:有価証券報告書

ニールセン。マーケティング・リサーチのグローバル市場最大手

ニールセンは100か国以上に拠点を持ち世界人口の90%を網羅する市場調査業界のリーディングカンパニーです。

ニールセンの事業をみると、「消費者購買行動分析(BUY)」と「消費者視聴行動分析(WATCH)」の2つのセグメントに分かれます。

消費者購買行動分析では、消費財メーカーや小売企業等を対象に世界規模でのリテールパフォーマンス分析を行っており、商品開発イノベーションからマーケティング活動最適化まで購買行動に関わる包括的なビジネスサポートを提供しています。

一方で、消費者視聴行動分析では、メディア・広告企業向けにあらゆるデバイス上での消費行動を把握するトータル・オーディエンス測定を行っており、広告効果の最大化に向けたソリューションを提供しています。

売上高は2015年に61.7億ドル、2016年に63億ドルと伸びています。売り上げの比率としては購買行動部門が53%、視聴行動分析部門が43%と両分野でバランスよく売上を立てています。

ニールセンの売上高推移

出典:FORM 10-K Nielsen Holdings plc

同社の主だった成長戦略として、「新興国市場への展開」と「高度なソリューション提供」をあげられます。新興市場への展開をみると、アフリカ・ブラジル・インド・ロシア・中国等の新興市場の売り上げは消費者購買行動部門(BUY)で既に3割程度を占めています。高度なソリューションに関しては、「オープン」「コネクテッド」「ユースフル」「パーソナル」という4つの視点で顧客の事業戦略効果最大化を狙っていくようです。

ニールセンの売上比率

出典:FORM 10-K Nielsen Holdings plc

ここからも、マーケティング・リサーチ業界のトレンドが「質」の追求にあることが分かります。また、新興市場含めたグローバル展開もほとんどの市場調査大手が強化している領域といえるでしょう。

その他のリサーチ手法。コンサルティングファームや投資家が利用するGLGなど「エキスパート・ネットワーク」

その他の調査手法、リサーチのサービスとしてはどのようなものがあるでしょうか。

最近では、「エキスパート・ネットワーク」といったリサーチのサービスも海外企業を中心に展開されています。「エキスパート・ネットワーク」とは、様々な業界や企業のリサーチのために、その業界の知見者、元従業員などのエキスパートがネットワーク登録し、投資家や調査員などに紹介して質の高い情報を提供するサービスです。

例えば、プロの投資家やファンドの投資判断のため、コンサルティングファームのプロジェクトのために、業界レポートなど流通している情報だけではなく、より精度の高い情報や業界の知見者ならではの視点を取得するために活用されています。

このようなサービスを提供している企業は、最大手ではGLG(ガーソン・レーマン・グループ、Gerson Lehrman Group)が1998年に設立され、現在では50万人規模のネットワークを構築しています。他にも業界大手としては、Guidepoint、Third Bridgeなどの企業がグローバルに展開をしています。日本では、まだこのようなサービスを活用する企業は一部にとどまりますが、これらの企業も既に進出しています。

このように、今後は情報を獲得していく手段もより多様化していくのかもしれません。