【イベント】米菓、電子部品企業の新規事業。出生前診断ベンチャー、生活者発想でのイノベーション支援とは:オープンイノベーションフォーラム「ローマの市場にて」2017年12月

2018.01.14 コラム

2017年12月のオープンイノベーションフォーラムローマの市場のイベントについてご報告いたします。

霞が関で行われた同イベントについて当日は大企業の新規事業・オープンイノベーションの担当者から、社内起業家、独立起業家などが登壇し、盛況のうちに幕を閉じました。

以下は実際の登壇者によるプレゼンテーションの内容について簡単にご紹介いたします。

 

大手メーカーのオープンイノベーションへの取り組み。フジクラの見据える“つなぐ”未来

株式会社フジクラ常務執行役員 相澤徹

常務執行役員の相澤氏より、株式会社フジクラの現在取り組んでいるオープンイノベーション活動について説明いただきました。
株式会社フジクラは、電線や光ファイバーといったインフラ製品からスマートフォンやい自動車に使用される電子部品を提供する創業132年のメーカーです。技術で世界に挑戦を続けている会社の1つでアジアを中心に製品の6割を海外で販売しており、世界シェア1位の製品もあります。

未来の社会課題解決をスローガンとした「2030年ビジョン」のもと、オープンイノベーション活動を推進しています。フジクラは、自社だけでは解決できない未来の社会課題に取り組み企業価値を継続的に高めるため、企業の枠組みを超えたエコシステムをつくることを目指しているとのこと。

具体的には、同社が既にリソースを持っている「Advanced Communication」「Energy & Industry」「Life-Assistance」「Vehicle」という4つの分野を想定して、様々な企業との協業を通じた新規事業創出を考えているとのこと。

なお、この取り組みの一環として、2017年4月にフジクラは新しいアイデアを持つ企業とフジクラの新規事業の共創を目指すスタートアップ向けのプログラムを発表しています。
同プログラムは『みらい社会の課題をスタートアップと迎え撃つ!』をテーマに、フジクラが保有する、さまざまな経営資源をスタートアップ企業が活用し、自社の成長を加速するというものです。スタートアップ企業との協業によって、これまでの事業領域内外での新規事業創出を実現することを目指し、具体的なアイデアを持つスタートアップ企業から協業案の募集を行っています。

同氏は「今回の発表を通して、こうしたオープンイノベーションの取り組みに関心ある起業家などとの情報交換につなげたい」とおっしゃっていました。

 

日本の米菓文化を築いた亀田製菓の新たな取り組みとは

亀田製菓株式会社マネージャー 熊谷 武久

米菓とは異なる視点からの同社の取り組みについて新規事業グループの熊谷氏による発表です。あられ・おせんべいといった本業が大変強い会社の中で、なんとか新規事業を拡大しようとしているという熊谷氏。お米に対する別視点からの研究開発~事業化について発表いただきました。

亀田製菓は、新潟に本社を置きせんべいやあられなどの米菓の製造を手掛け、米菓メーカーでは国内最大手の企業です。「柿の種」や「ハッピーターン」でおなじみの同社には、米菓事業グループ、海外事業グループ、新規事業グループの3つの事業グループがあります。もちろん、あられ・おせんべいが大黒柱です。

新規事業グループには、お米を中心として研究開発をおこなうお米研究所があります。長年蓄積したお米に関する技術を活かして機能性食品が研究開発されており、慢性腎臓病患者用米飯、嚥下困難者用おかゆ、長期保存食とこれまでに多くの商品が開発されていますが、今回は業務用の植物性乳酸菌ビジネスについて発表頂きました。

亀田製菓の研究開発する植物性乳酸菌は「K-1菌」「K-2菌」の2種類があり、「K-1菌」には整腸作用や美肌効果、「K-2菌」には抗アレルギー効果やインフルエンザ予防効果があることが同社の研究により明らかになっているそうです。これらの機能を活かし、「植物性乳酸菌ヨーグルト」や「乳酸菌サプリ」など様々な商品に乳酸菌が使用されているとのことでした。

 

新規事業に向き合ってきた経験からのイノベーションの取り組み

株式会社守屋実事務所代表取締役社長 守屋実

新規事業のプロとしてこれまでに48の起業を行ってきた守屋氏。守屋氏は、新卒でミスミグループ本社に入社後、新規市場開発でメディカル事業の立ち上げに従事されていました。その後同社の創業者である田口氏と共に新規事業専門会社エムアウトを創業、複数の事業立ち上げ及び売却を経験されています。

現在では、守屋実事務所を設立し、設立間もないベンチャーを対象に自ら投資を実行し、役員に就任、事業責任を負うスタイルを基本に新規事業創出の専門家として活動されているそうです。ネット印刷のラクスル株式会社や予防医療のケアプロ株式会社をはじめとした数多くの企業の立ち上げに参画されており、各社取締役、顧問、理事、アドバイザー等を兼任されています。

数多くの起業を経験されている守屋氏ですが、その経験の内訳は失敗の方が多いとおっしゃられていました。同氏は、その経験から得た失敗を防ぐ工夫と、躍進した事業の振り返りの記録を共有することで、新たな事業の起点となりたいと語ります。

 

生活者発想でのイノベーション支援について

株式会社SEEDATA代表取締役CEO 宮井弘之

SEEDATAは、イノベーション発想を支援するシンクブティック。生活者発想を基軸に据えて、生活者の5年先の未来を独自のアプローチで読み解く事業を展開しています。代表の宮井氏より、同社が手掛けるイノベーション支援についてご説明いただきました。

宮井氏は博報堂に入社後、同社ブランドイノベーションデザイン局へ参画。新商品・新サービス・新事業の開発支援に従事、幅広い業界のリーディングカンパニーと300を超えるプロジェクトを経験されていました。ビジネス領域では消費者調査・成長戦略立案・ファシリテーション・コミュニティデザイン・イノベーション共創支援を得意分野とされており、また消費者行動を専門分野とした経営学博士でもあります。

今回は、宮井氏が代表取締役として参画する株式会社SEEDATAについて、SEEDATAは博報堂の新規事業創出プログラムから生まれた社内ベンチャーで、近未来の消費者動向を分析しイノベーション支援を行っています。今後増えていくと想定される考え方や行動を先取りしている先進的消費者のグループ=「トライブ」を独自のアプローチでリサーチしデータベース化することで、5~10年後の生活者の行動変化予測を可能にしているとのこと。また同社は起業家育成のサポートも行っており、まだ事業を始めていない起業家予備軍の持つアイデアのブラッシュアップや、アイデアをもつ企業とのマッチングを行っているそうです。

 

世界中100万人の妊婦に届ける ゲノム時代の新出生前診断市場の創造

株式会社TL Genomics代表取締役 久保知大

久保氏は京都大学にて遺伝子発現の研究に従事し博士号を取得、その後コロンビア大学で博士研究員として基礎研究を行った後、日本のバイオ企業にて事業開発・ライセンシングに従事されていました。

久保氏が現在代表取締役として参画しているTL Genomicsは、新しい出生前診断の研究開発を行っている企業です。世界では年間100万人の妊婦が出生前検査を受診しており2021年にはその数200万人にまで増えると推定されています。しかしながら、現在の確定検査には流産リスクが存在するなどの課題が存在しています。

TL Genomicsは、母体血中にある胎児細胞を分離する新しい技術を開発しました。この技術を応用すれば、様々な染色体疾患を確定診断レベルで妊娠早期に検出できるようになる。現在は、同技術の事業化を目指して海外での臨床実験・開発を進めていくそうです。

 

デザインの視点で日本とイタリアをつなぐ

STUDIO TAKUMI 工素子

日本とイタリアを拠点にディスプレイデザイナーとして活躍する工氏。

工氏は、2004年より13年間イタリアミラノに在住し、年に数回ミラノと東京を往復しながらビジネスを行っているそうです。これまでにはヴァレンチノやアルマーニといった有名ブランドのショーウィンドウディスプレイもこなし、数々の業績改善につながる店舗改善を行ってきたとのこと。

また工氏は、イタリアを拠点に活動している経験を活かして日本企業のイタリア進出、イタリア企業の日本進出支援や、コーディネーター、通訳、翻訳といった事業を複数展開しておられます。北イタリアのウエディングドレスを日本に輸入するプロジェクトと、日本の良質な物品をイタリアに届ける”Obaachan”というプロジェクトを今回はご紹介されていました。