【5Gにおける新規ビジネスオピニオン】有識者5名に聞く、5Gでビジネスの世界はどう変わる?

2020.01.23 エキスパート

5Gとは、第5世代移動通信システムを指し、高速で大容量、遅延が少なく、多数の端末と同時接続が可能といった特徴をもっています。

その本格的な商用サービス利用が、ついに2020年から始まります。5G通信インフラを活用することで、B2B2Xをはじめとした新たなビジネスの在り方や、5Gによって生まれる新規のビジネスチャンスについて期待が高まっています。

こうした中、5名の有識者の方に、5Gによって生み出される新たなビジネスの今後の展望や課題等についてご見解を伺いました。

エキスパート(順不同)

・大手通信企業 スポーツ関連ビジネス 部長
・小池政秀:株式会社サイバーエージェント 常務取締役、株式会社AbemaTV事業 取締役
・筧誠一郎:eスポーツコミュニケーションズ合同会社代表、東京都eスポーツ連合会長、日本eスポーツリーグ協会代表
・熊井 光文:外資系通信会社 プリンシパルリサーチャー
・電子部品メーカー 研究開発部門 VP
・関西圏ケーブルテレビ・インターネットプロバイダー IT事業推進 部長

トピック

  1. 5Gによる新規ビジネス創出のキーファクターは?
  2. 5Gにおける注目の先進事例は?
  3. 5Gにおける新規ビジネスの未来をどう見る?

 

5Gによる新規ビジネス創出のキーファクターは?

>>ビジネス創出の基盤としてのネットワーク敷設

東京都が「東京データハイウェイ」構想を発表。都のインフラに5Gネットワークを導入、この旗振り役が都副知事の宮坂氏で、彼の実行力を考えると3年でのインフラ定着は可能。ドコモ、KDDIともに既存5G投資計画の上に自治体のお墨付きが重なった形だが、ソフトバンク、楽天の動きは鈍く、地方に広まるのはもう少し時間がかかるかも。(大手通信企業 スポーツ関連ビジネス 部長)

>>IoTの普及

現行の4GでもIoTは活用されている。5Gにより更に収容能力を上げ、多数のIoT端末を収容することにより、低価格化が見込まれ、普及が進むと考えられる。(熊井)

>>5GならではのUX/CX(経験価値)の創造

5Gで一番期待されていることは、あらゆる体験が仮想、現実を問わず、簡便にできることである。新しい経験のサービスを提供することで、新しい付加価値が生まれる。(熊井)

5Gネットワークが敷設されたとしても、ネットワークの性格上、ベストエフォートであるため、医療領域など人命にかかわる分野で活用されるには、当分先になるだろう。逆にネットワークが切断されても免責とされるような、エンタメやスポーツの視聴などにおいては、積極的に活用が始まるのではないだろうか。(大手通信企業 スポーツ関連ビジネス 部長)

5Gのメインコンテンツとして輝くのはゲーム。esportsの市場が拡大する中で、5Gによって、リアルタイムでの対戦や、PCを持っていないもしくは接続がこれまで難しかった地域でもスマホで参加可能となり、さらに利用者が拡大する。モンゴル奥地やアフリカといった世界中でスマホユーザーがリアルタイムで参加できる(筧)

 

5Gにおける注目の先進事例は?

>>アマゾンのリニア配信

アマゾンでもオンデマンドのみならずリニア配信、広告モデルのチャレンジを進めている。海外でもコンテンツへの投資は進み、業界でも試行錯誤が進む中で、ライバーやユーチューバーの出現や、短尺のアニメーションなどのコンテンツ制作者の増加など、新しいフレームやそのプレーヤーの定義も多様化していく(小池)

>>グーグルのゲームサービスSTADIA

グーグルがゲーミング用PCを使わなくても、高いクオリティのゲームを低遅延でできるゲームサービスを発表。esportsはこれまでの高性能なゲーミングPCからスマホに移っていく。今後は、スマホでゲーミング用サーバ接続して、世界中をつないでリアルタイムでできるようになると、さらに市場が拡大する。(筧)

>>AR/VR/MR

Microsoft Hololensの活用事例としては、大東建託(3D建物を用いたプレゼンテーションを行う営業支援ツール)、三井住友建設(導水路トンネル調査・点検システム)、HoloEyes(CTスキャンデータやMRIデータを3次元上に再構築)、メルセデス・ベンツ(トレーニング・センターでの修理研修)等がある

>>5G+AR採用によるスマートファクトリー

特に韓国では進んでいるが、工場の工程内で作業者が5GベースのARグラスを採用することにより、作業効率、作業品質を大幅に改善している。(電子部品メーカー 研究開発部門 VP)

 

5Gにおける新規ビジネスの未来をどう見る?

>>「これが5G」と認識している間は普及しているとは言えない

誰も気づかないところで5Gが各所で使われて、初めて普及と言える。IoTが5Gを牽引し、これまで予想しなかった分野での5Gの利用が期待される。(熊井)

>>5Gはあくまでも通信インフラ。サービスの創造こそが重要

5Gに合ったサービスが5G普及拡大のカギである。5Gの浸透度の予想は各社まちまちだが、基地局だけ5Gにしても浸透は進まない。5G携帯電話の買い替え需要が出てくるものの、しばらくは4Gがマジョリティで、すべてがいきなり5Gに切り替わることはない。5Gにフィットしたサービスが生まれれば、それがきっかけとなり一気に5Gへの買い替えが進む見込み。スマホでSNSが起爆剤になったように、5Gにあった新しいサービスが出ることによって拡大する(小池)

様々な新規ビジネスの可能性を秘めている5Gであるがあくまでも5Gは、ワイヤレスネットワークのインフラレイヤーに存在しているに過ぎない。今後どのようなサービスを作り出して人類を幸福にしていけるか否かは、通信事業者にサービス提供という立ち位置からだけでは、決して具体化できないと思う。ローカル5Gサービスのように地域の人・モノ・街がお互いに響きあってできるシナジー(相互メリット)がなお求められていくのではないだろうか。(関西圏ケーブルテレビ・インターネットプロバイダー IT事業推進 部長)

 

プロフィール

大手通信企業 スポーツ関連ビジネス 部長
編集者、IT企業勤務などをへて現職。スポーツ関連のビジネス推進を担当

小池 政秀
株式会社サイバーエージェント 常務取締役、株式会社AbemaTV事業 取締役

荻島商事(現・アイア株式会社)、株式会社リンクメディアを経て、2001年に株式会社サイバーエージェントに入社し、現在、取締役としてAbema事業を統括する

熊井 光文
外資系通信会社 プリンシパルリサーチャー

複数の外資系通信会社にてマーケティングやビジネスディベロプメント、プロダクトマネージャーなどを歴任。現在は外資系通信会社にてプリンシパルリサーチャー

筧 誠一郎
eスポーツコミュニケーションズ合同会社代表、東京都eスポーツ連合会長、日本eスポーツリーグ協会代表

電通にてエンタテインメント事業に従事した後、eスポーツコミュニケーションズ合同会社を設立、日本eスポーツリーグ協会を主催。著書に『eスポーツ地方創生』等

電子部品メーカー 研究開発部門 VP
電子部品メーカーの研究開発部門VPとして、事業開発・次世代ワイヤレステクノロジーなどを担当している

関西圏ケーブルテレビ・インターネットプロバイダー IT事業推進 部長
ISPや地デジ化推進、地域おこし支援等に従事

関西圏のケーブルテレビ、インターネットプロバイダーにてIT事業を推進。ISP推進やカバーエリアにおける山間部自治体への地デジ化推進支援のほか、地域おこし支援なども担当