【国内初】エキスパートアワード受賞者インタビュー(エキスパートオピニオン部門)

2021.03.11 エキスパート
【国内初】エキスパートアワード受賞者インタビュー(エキスパートオピニオン部門)

2021年2月12日、ユーザベースグループの株式会社ミーミルは、エキスパートプラットフォーム「NewsPicks Expert」に登録しているエキスパートを対象に、「エキスパートアワード2020」を開催しました。これまで明確な基準がなかった「エキスパート」や「有識者」について、知見提供の実績や評価をもとに表彰するアワードは国内初めての取り組みとなります。

エキスパートオピニオン部門では、先端領域の課題や未来像について、専門的な知見をもとに見解をいただく案件を対象に、実績を収められた4名のエキスパートが「最多インタビュー賞」「ベストインタビュー賞」「特別賞」をそれぞれ受賞しました。

今回、受賞されたエキスパートは以下の方々です。

最多コメント賞
金子 英俊 様(楽天株式会社 データ管理戦略部 情報セキュリティ・プライバシーガバナンス部 ヴァイスシニアマネージャー)

ベストコメント賞
佐藤 将史 様(一般社団法人SPACETIDE 理事 兼 COO)

特別賞
野崎 隆志 様(有限会社タートルシステム 代表)

特別賞
菅 尋史 様(西村あさひ法律事務所パートナー)

受賞者の皆さまには、「NewsPicks Expert」に登録した経緯や案件を受けてみて得た気づき、活動のモチベーションなどのインタビューに答えていただきました。

最後には、株式会社ミーミルおよび「NewsPicks Expert」が提案する「個人と企業の新しい関係」に対する見解も伺っています。

【解説】NewsPicksが提案する新しい働き方

EXPERT Opinionとは

EXPERT Opinionは、能動的かつ網羅的な情報取得が難しい先端領域の課題・未来像について、 有識者の見解を集約したコンテンツレポートです。 ユーザベースグループの経済プラットフォーム「SPEEDA」のトレンド(専門家の見解)と連動しています。

今後、510年の間に新技術がビジネス化することが予想される「先端領域」を90以上カバー。アカデミア研究者、コンサルタント、ジャーナリストなど、視点の異なる有識者の意見を比較・検討することで、新規事業や事業投資における意思決定に役立てていただくことが可能です。 

 

<最多コメント賞> 金子 英俊 様

楽天株式会社 データ管理戦略部 情報セキュリティ・プライバシーガバナンス部 ヴァイスシニアマネージャー

得意業種:小売、金融、広告・情報通信サービス
専門領域:経営、事業開発・企画・マーケティング、コンサルタント

略歴:ITベンダー、大手人材グループ、金融セクター、グローバルコンサルティングファームなどを経て2020年に楽天株式会社に入社。グループにおけるデータ利活用戦略の策定と実行を推進、情報セキュリティマネジメントの統括を担う。

表彰のポイント:セキュリティ、スマートシティ関連を中心とし、1年間で40件を超える案件をお受けいただきました。カバーされている領域の広さ、質の高さも兼ね備えていらっしゃいます。

 

受賞のご感想をお聞かせください。

金子 これまで関わってきた企業やプロジェクト、コンサルティングの知見を活かすことができ、光栄に感じています。私は法律事務所やITベンダー、人材会社、金融といった様々な領域の事業会社で働き、またコンサルティングファームでは多くのお客様にコンサルティングを行ってきました。幅広く様々な経験を積んできたことをご評価いただけたのだと思っています。

 

なぜエキスパート登録してみようと思ったのでしょうか。

自分が培ってきた経験や知識を、普遍的なものとしてより多くの方に利用していただけるのではないかと考え、登録させていただきました。自分自身のブラッシュアップという意味合いもあります。ご依頼をいただくために世の中のトレンドやニーズを常に掴んでおくという点では、自分のためになっています。

 

実際に案件に答えてみた上での気づきはありましたか。

いただいたテーマの中で考えてアウトプットすることで、経験してきたことの整理につながると感じています。これまではなかなかその時間が取れませんでしたが、回答することによって思考を整理する機会をいただいており、私自身も勉強になっています。

私がこれまで経験したことを、自分だけの中に閉じこめてしまうのではなく、より一般化してみなさまに提供できれば、多くの方々に知見を利用していただけます。クライアントのみなさまのビジネスの前進につながるのであれば、非常に嬉しいです。

 

この先1年ほどのスパンで注目している領域はありますか。

DXの推進とともに、「データドリブンエコノミー」と呼ばれるデータの利活用に注目が集まっていると感じています。これまでもGAFAなど個人のデータを上手に利用できた企業が成長してきました。

「21世紀はデータの世紀」と言われるように、今後もデータは石油に代わる資源として、ビジネスだけではなく政治など様々な領域で使われていくと思います。

一方で、現在、世界的にデータに関する法規制が進んでいます。大量のデータを保有する事業者がサイバー攻撃を受ければ重大な情報漏えいに結びつくこともあり、企業がデータを自由に入手し、使うことが難しくなりつつあります。いかに法規制に対応してデータを入手・活用し、ビジネスを大きくしていくか、という点が重要になってくると思っています。

 

─「個人と企業の関係」は今後、どうなっていくと思いますか?

これまでは、ひとつの企業の中で、クローズドな形で情報やビジネスが守られてきました。しかし昨今では、多くの大企業をはじめとして、オープンイノベーションが定着しつつあります。企業が新規事業を立ち上げる際に外部の人や企業と結び付き、新たな視点を得て、アイデアを創出することが可能になってきています。

また、社員が副業や協業といった形で所属する企業から離れた場所で仕事をすることで、新規のアイデアや事業が生まれ、結局、自社にメリットが戻ってくることもあるはずです。今後はさらにそういった方向性が加速するのではないでしょうか。

ひとつの企業に閉じこもるのではなく、他企業、それも競合するような企業と組んで、新たなソリューションを見出す可能性も出てくるでしょう。大企業と個人が結びついて新しいサービスを生み出すことも増えると思います。ですから、ミーミル様が提供しているようなエキスパートリサーチの市場はますます大きくなっていくと考えています。

 

<ベストコメント賞> 佐藤 将史 様

一般社団法人SPACETIDE 理事兼COO

得意業種:輸送機械、広告・情報通信サービス、公共サービス
専門領域:経営、事業開発・企画・マーケティング、技術・開発・製造

略歴:一般社団法人SPACETIDE共同設立者・理事兼COOとして、日本初の民間発宇宙ビジネスカンファレンス“SPACETIDE”の企画・運営を行う。 野村総合研究所にて2003年から16年間、宇宙ビジネスやスタートアップ支援、オープン・イノベーション関連のコンサルティングに、政策立案から企業戦略まで幅広く従事。

表彰のポイント:宇宙ビジネスに関して、豊富な実務経験をお持ちで、エキスパートオピニオンではテーマ「低軌道衛星」において、非常に質の高いコメントをいただきました。

 

受賞されたご感想をお聞かせください。

佐藤 とても驚いています。宇宙ビジネスは人目を引く業界である一方、参入しているベンチャー企業はまだ売上が立っていないところが多く、まだまだマイナーな分野です。私の専門である衛星データに関心を持つ方がおり回答を評価いただけたことによって、より宇宙業界に注目が集まり、業界が盛り上がったり投資を集めたりすることに繋がるとよいなと思っています。

 

エキスパートとしてご登録いただいた理由をお聞かせください。

大きく分けてふたつあります。ひとつは、宇宙ビジネスを盛り上げていくうえで、ユーザベースグループのような、メディアやデータベースといったプラットフォームを持っている企業と接点を持っておきたかったからです。

宇宙産業は大きなポテンシャルを秘めていますが、現状、マイナーな分野であることが問題です。

一個人の有識者として発言できる機会があれば、我々の伝えたいことを、我々の名前も含めて伝えることができる。宇宙ビジネスについてはこういう専門家がいるのだと発信できる場があるのがありがたいです。

もうひとつは、情報の出し方の練習になるということ。異業種の方々から新たな切り口で質問をいただいてお答えする中で、多くの方々に業界のことを知っていただくために自分の知識を整理して伝える訓練になると思っています。

 

エキスパート活動のやりがいがあれば教えていただけますか。

宇宙業界において重要なのは、やはり異業種の方々とどうやって繋がるかというところだと思っていて、この活動では「宇宙ビジネスになんとなく興味がある」程度の、ライトな関心を持ってくれている方と接触できることが魅力的です。

我々が自力で接触できるのは、すでに宇宙が好きという人なので。これからも、個別にいただく質問も含めて、様々な方とリアルなコミュニケーションをしてみたいです。そこで1人でも2人でも業界の深いところに踏み込んでいってもらえるよう誘導できるとよいなと思います。

また、発信した情報に触れた方から反響があると、やはりとても嬉しい。その先で、例えばオープンイノベーションのお手伝いができたりするといいですし、そのきっかけが外部への情報発信から始まるというのは理想とするシナリオのひとつです。

 

個人と企業の関係は今後、どうなっていくと思いますか?

基本的には、個人は企業の枠を超えて活動していくべきだと思っています。ただ、社外活動を真剣にやればやるほど、本業やプライベートを逼迫する可能性があります。

それに本気で時間を割くことができる人には、社外活動を副業から格上げして、個人コンサルタントとして独立したり、本業のひとつにしたりするという方法もあると思っています。仕事を発注する側はそれらに応じて何らかのステップを設けるというのも一案だと考えています。

 

現在、佐藤様が注目している人や業界はありますか。

宇宙ビジネスの近くでは、海外進出が活発な業界の人とお話ししてみたいです。また、政府の規制とベンチャーの進出のバランスは、今後宇宙産業が参考にできる点が多いだろうと思っています。

たとえば、AirbnbやUberなど、そういった参考事例が気になっています。あとはロボティクスや核融合などのハードテックの分野に興味があります。

 

<特別賞> 野崎 隆志 様

有限会社タートルシステム代表

得意業種:機械・電気製品、広告・情報通信サービス
専門領域:事業開発・企画・マーケティング、技術・開発・製造

略歴:1982年 パイオニア株式会社 入社、 インクリメントP株式会社で、カーナビを始めデジタル地図活用市場の発展を担当。iモード時代に、GPS携帯電話とスマートホンの未来を確信し、三井物産と共に世界に先駆けて携帯電話で地図を使う世界「iMapFan」を未来創発。自動運転の安全面を追求する国家プロジェクトに参加したのちに退職。株式会社レイヤーズ・コンサルティングのプロフェッショナルパートナーとして自動車会社などの支援に従事。

表彰のポイント:自動運転車の普及や交通データの利活用について、幅広い知見をお持ちで、オピニオンだけではなく、インタビュー案件でもご好評をいただいております。

 

受賞のご感想をいただけますでしょうか。

野崎 第一線で活躍されているエキスパートの方々の中で賞をいただけたことに対して、戸惑いに近い驚きを感じています。自分の専門領域については一定の評価をいただけているということなのかなと思っています。

 

エキスパートとしてご登録いただいた経緯をお聞かせください。

実は、エキスパート登録をする以前に企業様からインタビューのご依頼をいただいたことがあります。その際に、その企業様の中で経験値が貯まっていないことについて、たまたま私が経験したことをお伝えして、お役に立てた実感がありました。その頃から、こういった活動が世の中のニーズとしてあり得ることを感じていました。

 

開始前に不安や懸念点はございましたか?

自分の知識や経験が本当に必要とされるのかと不安に思っていました。また、会社員時代、自社では実現が難しそうなアイデアを出して「考えが普通じゃない」「うちの会社ではできない」と言われることがよくありました。エキスパートとしての回答も同様に、質問者の方からすると突拍子もないものになっていないか心配でした。

 

スケールの大きなアイデアは、社外からすると価値があるものだと思います。クライアントの方は、新しいイノベーションの種を求められています。

そうですね、水素活用の話がいい例になるかもしれません。私は家電メーカーにいた頃から水素社会について関心を持っていたのですが、当時は現実的な選択肢にはなっておらず、なかなか話を聞いてもらえなかった。

ところが菅政権に代わってから、水素エネルギーの活用が掲げられ、水素が注目を集めるようになってきました。時代の大きな流れの中で、自分のアイデアが評価されるタイミングが訪れることもあるため、大局観を持つ人たちと繋がって意見交換をすることの重要性を実感させられました。

 

エキスパート活動をする中での、ご自身のメリットや活動のモチベーションはありますか。

他のエキスパートの考えはやはり気になります。同じ質問に対して、私と違う意見を持たれている方は絶対いるはずなので、それに触れられるのは参考になります。逆に、同じ考え方をする人がいるのであれば、その点は自信を持って突き詰めてみてもよいのかなとも思います。

 

今後、挑戦したいことはありますか。

現代は、健康が大きなテーマになっていく時代だと思っています。

私は企業を離れるまでは、家電メーカーでソフトウェアの領域に従事してきました。ちょうどアナログの世界をデジタル化する時代に社会人経験を積んできたのだと思っています。

デジタルには「壊れづらく修復しやすい」といった特性があるのですが、そこで出てくるキーワードが「修復可能」です。人間の体は、外部環境や自身の変化に対する修復機能を持っており、これはデジタルの「修復可能」と通じるところがあります。

人の修復機能がきちんと働いていない状態を「健康でない」と定義できるとすれば、ソフトウェアの修復と同様に、人間の健康に対してもAIを活用できるのではないかと考えています。

予防医学を一緒に学んだ現役の医師から、健康になる方法をわかっている医師は少ないと聞きました。理由は、学ぶ機会がないから。

治療については皆さんプロフェッショナルですが、医学部の教育の中で、健康になる方法というものは学問として学ばないそうです。ですから、健康そのものは医師以外の誰かが担当しなければいけない領域で、打ち手はいろいろあると思っています。

 

個人と企業の関係は今後、どうなっていくと思いますか?

今までは企業が強すぎたのだと思います。私は、歴史は繰り返すと考えています。企業に雇われるサラリーマンという労働形態は、戦後の製造業が伸びてきた時代に激増しました。それまでは、農業のように、個人で働く人が多かった。また歴史が繰り返して、個の時代になりつつあるのだと思います。

企業に属する個人は、所属する企業の利益の最大化がミッションになるので、競合他社に情報を与えることは難しい。

一方で企業に属さない個人は社会の利益の最大化に意識を持っていて、情報をうまく活用できるかもしれません。ただ、個人でできることは限られています。企業は個人では成し得ないことを実現するための組織なのです。そうなると今後は、企業は個人が利用する対象になっていくと思います。

ただし、企業が従業員に仕事を経験させて、個人を育ててきたという事実もあります。私達エキスパートの知識も、企業に勤める中で得たものがほとんどであるわけです。

当然、機密情報や知的財産など、外部に出してはいけない情報もあり、その線引きは明確ではありません。「社会の利益の最大化」を目標として、企業と個人が協働していく方法は、まだはっきりと決まった形がありませんが、その触媒になるのがミーミルのような会社なのだろうと感じています。

 

<特別賞> 菅 尋史 様

西村あさひ法律事務所パートナー

得意業種:知的財産権(IP)、独占禁止法など
専門領域:情報セキュリティ

略歴:1991年東京大学法学部卒。93年弁護士登録。98年シカゴ大学ロースクール卒(LL.M.)。2001年~あさひ法律事務所パートナー、2007年~西村あさひ法律事務所パートナー。2012年~東京都知的財産総合センター専門相談員(弁護士)。国内外の知的財産権の紛争や取引案件、データ法関連案件をはじめ、独占禁止法案件、企業再編・M&A、会社紛争、IT企業の法務全般を扱う。

表彰のポイント:先端領域のトレンドに関して、弁護士の視点から優れたコメントをいただきました。とくに情報セキュリティ関連の法令等に深い知見をお持ちです。

 

受賞のご感想をいただけますでしょうか。

 他のエキスパートの皆様のコメントを拝見しましたが、専門的で、勉強になるコメントばかりでした。そのような方々の中から選んでいただき、大変光栄に思っております。

私自身はITやシステム関連の企業様とお仕事をする機会が多かったため、そういったテーマに関する法律関係の知見をコメントさせていただきました。

質問をいただき、最先端の話題に触れられることが私にとって勉強になり、良い機会だと思っています。ただ、私は弁護士ですので、きちんとしたコメントを差し上げなければいけないために、どうしても差し障りのないようなコメントになってしまいがちです。回答を作る前段階から、もっとブレインストーミング的に関わらせていただいてもいいのかもしれないと思っています。

 

お答えいただいた中で特に印象に残っているテーマはございますか。

個人情報保護やサイバーセキュリティでしょうか。近年、法規制が厳格になってきており、情報のアップデートが我々弁護士にとっても大変です。様々な情報を集めながら回答をしています。

 

エキスパートとして個人名を出してコメントを発信することは、弁護士の方にとってはどのような意味合いがあるとお考えですか。

基本的には、プロモーションの一環です。自分が詳しい分野について名前を出して外部に発表することによって、それを見た人から、お仕事のご依頼に繋がりやすくなります。長い目で見たプロモーションになると考えています。

 

記事作成:宮原透、南部菜生子