【中国におけるモノのシェアリングエコノミー】今後の展開は?現地有識者の見解を読み解く

2020.02.17 エキスパート

シェアリングエコノミーとは、スキルや時間、モノや場所などの遊休資産を個人間のマッチングプラットフォームを通して利用することできるサービスの総称です。その中でもモノのシェアリングエコノミーは、自動車・自転車、アパレル、傘、緊急モバイル電源など多岐にわたります。

UberやAirbnbなどのユニコーン企業が世界を席巻するなか、シェアリングエコノミー先進国となりつつある中国では、2016年頃から「モノ」のシェアリングエコノミーが拡大しています。

ミーミルでは中国現地のご有識者の皆様に、中国におけるモノのシェアリングエコノミーの今後の展望や課題等のご見解をお伺いました。

トピック

  1. 中国におけるモノのシェアリングエコノミーの成長を牽引するキーファクターは?
  2. 中国におけるモノのシェアリングエコノミーにおける注目の先進事例は?
  3. 中国におけるモノのシェアリングエコノミーを牽引するバリューチェーン上のキーは?

 

中国におけるモノのシェアリングエコノミーの成長を牽引するキーファクターは?

>>資金と宣伝

少なくとも中国のシェアリング市場では、はじめに大規模なエリアで展開することが必要で、そのための大量の資金投入とマーケティングは必要だと考える。
(中国人シェアリングエコノミー研究者)

>>新規ユーザー獲得の見込み

正確なターゲティングがあるか、新しいユーザーを獲得できるかが非常に重要。
プラットフォームを大きくする前に、新しいユーザーを取り込むこと、ユーザーのアクティビティと使用頻度を増やすことが大切である。ユーザーのアクティビティを増やすと、プラットフォームが正常に長期間機能することにつながり、安定した収入をもたらすことができる。
(中国大手シェアリングエコノミー企業 元実務者)

>>差別化、品質向上、ターゲティング

中国のシェアリング市場はまだまだ開拓できる。しかし開拓した後にいかに差別化し、サービスの品質を高められるかがビジネス成功の要諦。特定の人ではなく特定のコミュニティにターゲィングすることも、このビジネスの要となる。
(MoonVentures代表 LINQI)

 

中国におけるモノのシェアリングエコノミーにおける注目の先進事例は?

>>賃貸でシェアリング家電

北京や上海等の一流都市では引っ越しの頻度・コスト共に高いが、シェア家電を活用すれば、 引越し先で規格が合わないために使用できない家電の代替をすぐに確保できる上、不要な家電を処分する必要がなくなる。
またシェア家電に対する充実した修理やメンテナンス保証の体制を活用できる。サービス提供者も、環境に配慮したビジネスを展開することができる。
(中国人シェアリングエコノミー研究者)

>>シェア充電器、シェアキッチン

一定の利用シーンにおける需要を満たしつつ、特定のコミュニティに集中していくと、シェアできないと思われていたものも徐々にシェアできるようになる、シェアすることが人気になっていく。
(中国人シェアリングエコノミー実務者)

>> DIDIのshunfengche機能

DIDIのshunfengche機能やMeituanのtuangou機能は、ユーザーの利便性を大幅に向上させた。
共同購入は売り手・買い手の両当事者にとって良いもので、買い手は市場よりも低い価格で購入・消費することができ、売り手はこのままでは無駄になるかもしれないリソースや在庫をまとめて販売することができる。
(中国人シェアリングエコノミー研究者)

>>シェアリング傘

シェアリング傘は日本でも今展開しており、非常にわかりやすいケース。
誰でも傘を忘れることがあるし、しかしいきなり雨が降ったら都度新しい傘を買うのも面倒というニーズに対応できる上、運営側としては傘が壊れてもメンテナンスコストが低く、投資も少なくて済む。
収益と投資のバランスがよく取れる素晴らしい事例だと考える。
(MoonVentures代表 LINQI)

 

中国におけるモノのシェアリングエコノミーを牽引するバリューチェーン上のキーは?

 

>>持続的な成長戦略と収益モデル

シェアリングエコノミー収益は使用料、広告収益、ビッグデータ収益、金融収益から構成される。 シェアリングバイクを例にとると、使用料の0.5元〜1元に加え、その他の収益がある事になる。しかし維持管理や損害等のコストを計算すると、最終的には赤字となる可能性が高く、まだ持続的なビジネスモデルではないと言える。
(中国人シェアリングエコノミー研究者)

>>一貫性、低コスト

シェアリングの体験、シェアリング後のサービス、および再び使う意欲の一連が重要。
シェアリングエコノミーはこうした一貫性のあるサービスなので、利用体験を満たしながら低コストで運営していくことがキーとなる。
(中国人シェアリングエコノミー実務者)

>>効率を高めて需要を創出

リソースは常に貴重で、かつては鉱物資源、水資源だった。 現代社会で最も貴重な資源は時間。
効率を改善していくことはソーシャルコマース市場で最も重要なバリューチェーンでなければならない。効率を改善しながら、新しいシナリオで新しい要件を作成することは、より自然で直接的。
(中国人シェアリングエコノミー研究者)

>>サービスとビジネスモデルと新技術

高品質のサービス、持続性のあるビジネスモデル(ただの使用料徴収ではなく)と、新しい技術(ブロックチェーンでユーザー行動を評価、壊れたときにユーザーがお金払う仕組みなど)によるコスト低減などが重要。
(MoonVentures代表 LINQI)

プロフィール

LINQI

中国北京出身。英国ノッティンガム大学神経学在学中に、スマホ向けのゲーム会社を立ち上げ、2年でバイアウト。現在個人投資家として様々な事業に投資。
2018年、中国浙江省政府と協同で、杭州にある政府団地で世界初の日中技術融合オープンイノベーションプラットフォームを設立。日中大企業の新規事業の立ち上げや中国の先端技術を日本市場でのソリューション提供をサポートする国際的なコンサルティングを得意としている。

Twitterアカウント:Twitter@lynchlinqi