【米国の大麻関連市場】アメリカ人有識者4名に聞く、CBD市場と医療大麻の現状と今後の展望

2020.04.21 エキスパート

CBD商品とは、大麻由来成分である「カンナビジオール」(CBD:Cannabidiol)を含んだ製品を指します。
向精神作用や依存性はなく、てんかん、吐き気抑制、リラックス効果や睡眠の質の向上など様々な効果が注目されています。米国では2018年の産業用大麻[1]の合法化をきっかけに、CBDを含む食品、飲料、化粧品など様々な商品が相次いで発売され、スーパーや街角の売店をはじめ、一部の婦人服売り場でも見かけるようになりました。
このようにCBD商品が人々の暮らしに浸透し始めている状況を踏まえ、4名のアメリカ人有識者に米国のCBD市場と米国における医療用大麻の現状、今後の展望や課題などについての見解を求めました。

[1]   大麻草に含まれるTHC濃度が0.3%未満の品種を栽培し、衣類、食品、化粧品、建材、製紙、飼料、自動車用品などの産業用途に使用すること。「ヘンプ」(Hemp)がこれにあたる。

 

エキスパート(順不同)

ジェームズ・ハーシュ氏(James Hirsch):弁護士、投資家、保険仲立人

ジュネラ・チン博士( Junella Chin):総合大麻医師

ヘザー・ジョン氏(Heather John):Brooklyn Hemp Co.の設立者兼CEO

アレックス・ヘンリ―氏(Alex Henry):Debevoise & Plimpton LLPの弁護士。大麻に関する情報を提供する企業を設立。

 

トピック

  1. 米国におけるCBD市場の未来(3~5年後)をどう見ていますか?
  2. 米国における嗜好用大麻の合法化についてどうお考えですか?
  3. 医療用大麻の現状についてどうお考えですか?

 

ニューヨークの婦人服売り場に並ぶCBD製品

 

米国におけるCBD市場の未来(3~5年後)をどう見ていますか?

 

「向こう数年で更に勢いを増していくと考えられます。
今後アメリカ食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)による監視からの自由化や、麻産業に関する州の規制緩和が進んでいくでしょう。市場の成長に伴い企業もヘンプビジネスに必要な知識を蓄えていくと思います。」(ヘンリー氏)

「メジャーなCBDブランドや企業が出現し、市場の安定化に繋がると思います。」(ジョン氏)

「CBDの根強い需要を考慮すると、長期的に見てCBD市場には将来性があると考えられますが、ヘンプ由来のCBDの合法性とテトラヒドロカンナビノール(THC:Tetrahydrocannabinol)[1]の許容量を取り巻く多くの混乱があるのも事実です。
また、FDAやその他の規制当局がCBDを含む食品や飲料、その他CBDの摂取が可能な製品をどのように扱っていくかという点においても、未だ不透明な部分があります。
一つ確かなことは、人間が消費する製品の製造に携わる人々は、高い安全基準を遵守するよう心がけるべきであるということです。」(ハーシュ氏)

[1] THCは大麻(マリファナ)に含まれる主な有効成分で、多幸感を覚えるなどの向精神作用をもつ。

 

米国における嗜好用大麻の合法化についてどうお考えですか?

 

「結局のところ米国議会の関心次第だと思うので、合法化のタイミングについては言及しません。
ただ、比較的早期の合法化が期待できるのではないかと思っています。」(ヘンリー氏)

「2020年11月の大統領選挙の時期に、嗜好用大麻の規制に何か動きがあるのではないかと予想します。」(ジョン氏)

「大麻に関する連邦規制は、多くの人が予想しているより早く解禁されると考えます。
規制を拒否する州が複数あるのは、国として健全な状況ではありません。世論調査によると、医療用と“成人の使用”における大麻の合法化は超党派から高い支持を得ています。
興味深いことに、大麻を合法化した米国の州の多くが大麻を「必要不可欠」なものと見なしており、(新型コロナウイルスによる)世界的なパンデミックへの対応としてロックダウンされた現在の状況下においても、大麻関連企業は事業を継続できるよう認可されているのです。」(ハーシュ氏)

 

医療用大麻の現状についてどうお考えですか?

 

「大麻は特効薬ではありません。しかし、強力な抗炎症剤であり、予防医療分野において大きな可能性があります。
今後の医療用大麻を巡る動きは、現在の米国のヘルスケアシステムの在り方自体を再検討するきっかけになるのではないでしょうか。」(チン博士)

「米国にある州の半分以上が医療用大麻プログラムを実施し、世界でもそうしたプログラムを取り入れる国が増えている中で、大麻の医学用途を認めていない状態を維持するのは現実的に考えて難しいでしょう。」(ハーシュ氏)

 

エキスパートの紹介

ジェームズ・ハーシュ氏(James Hirsch)

25年間にわたり鉱業と金融サービス業界で弁護士として従事した後、2017年から麻産業に関与し、弁護士、投資家、顧問、保険仲立人として従事。

ジュネラ・チン博士(Dr. Junella Chin)

Forbes、LA Times、USA Today等で取り上げられた世界的に有名な統合大麻医師の一人。コーネル大学で理学士号、トーロ大学で医学の学位を取得。コロンビア大学では、老化と女性の健康における補完代替医療を研究した。2019年6月に出版された『Cannabis and CBD for Health and Wellness』(健康のための大麻とCBD)の共著者。

ヘザー・ジョン氏(Heather John)

2018年にニューヨークで「Brooklyn Hemp Co.」を設立。飲料、サプリメント、スキンケア商品など多岐にわたるCBD関連製品を製造・販売。

アレックス・ヘンリ―氏(Alex Henry)

ニューヨークにあるDebevoise & Plimpton LLPの弁護士。大麻に関する情報を提供するオンラインプラットフォーム「JIFF」の設立者。CBD商品の販売やマーケティングにおける法的なアドバイスを行う。

 

翻訳・記事作成:Nichibei Marketing, LLC