【転換期を迎える医療業界】コロナ禍で加速するテクノロジー×医療、アメリカとイギリスの業界有識者3名に聞いた医療業界の今後

2020.08.11 海外市場

世界各国で徐々に経済活動が再開されるなか、早い段階で再開した国や地域では再び感染者数が増加し、衛生措置の強化やマスク着用を義務付ける動きがみられます。今、企業には新型コロナウイルス(COVID-19)危機を経て到来する「ニューノーマル(新常識)」に向けた構造的な変革が求められています。
今回のパンデミック(世界的大流行)は医療業界におけるモノの不足だけでなく、人員の不足や院内感染など、医療崩壊につながる様々な問題を浮き彫りにしました。本記事では、コロナ禍で素早く方向転換し、新しいビジネスチャンスを見出して医療関連製品の開発にあたる3D顔面スキャン企業「Bellus3D」と3Dプリント企業「Makelab」、そして院内感染防止に大きな効果が期待されている遠隔診療サービス企業「Babylon Health」3社のマネージャー、CEOおよび代弁者に見解を伺いました。

 

エキスパート(順不同)

ニック・ブロザン氏(Nick Blozan): Bellus3D マーケティングマネージャー

クリスティーナ・ぺルラ氏(Christina Perla):Makelab 共同設立者兼CEO

Babylon Healthの代弁者

 

 

トピック

1.新型コロナウイルスへの対応はどのような状況でしょうか?

2.米国医療業界の未来(3~5年後)をどう見ていますか?

3.今後の医療業界で成功するために考慮すべきことは何ですか?

 

1.新型コロナウイルスへの対応はどのような状況でしょうか?

▼Bellus3D:通常事業を停止し、需要に基づいた新しい商品を開発

「2020年3月にCOVID-19がパンデミックであると宣言された時、社会の役に立つチャンスだと感じ、一時的にすべての商用プロジェクトを停止して、顔面とマスクの隙間から感染源が侵入するのを防ぐ「マスク・フィッター」を開発しました。Bellus3Dは現在3Dプリント企業と連携して、生活に必要不可欠な事業(食料生産、医療、緊急対応などに関わる業種)の雇用主が従業員に提供するためのマスク・フィッターのフレーム製造に取り組んでいます。」(ブロザン氏)

 

(写真:Bellus3Dが3D顔面スキャン技術と3Dプリント技術を用いて開発した「マスク・フィッター」。顔面とマスクの隙間から感染源が侵入するのを防ぐ。)

 

▼Makelab: 医療業界で新たなビジネスチャンスを見出した

「新型コロナウイルスの発生以来、色々なことがあり大変でした!ただ、幸いにも私たちは世の中の変化に瞬時に順応し、柔軟に対応できる業界にいます。4月に新しいPPE(個人用防護具)を製造することで、すべての通常ビジネスの損失を補うことができました。さらに寄付を募り、PPEを必要としている病院に提供しました。弊社はフェイスシールドとカスタムフェイスマスク・フィッターの両方の製造に取り組んでいます。私たちがこのようにして素早く方向転換することによって小規模メーカーも困難な状況を乗り越えることができ、社会の役に立つことができています。マスクが顔面に隙間なくフィットするためのカスタムフィットマスク・フィッターの製造を通して、医療業界で新たなビジネスの機会を見出すことができました。」(ぺルラ氏)

 

▼Babylon Health: パンデミックへの対応が医療の発展を加速させた

「新型コロナウイルスの発生により、私たちは医療を進歩させるあらゆる可能性を追及することが急務となり、結果として医学における新しい技術や画期的な進歩と、根本的な認識の変化が世界的に見られました。私たちは今、転換期を迎えています。私はAI(人工知能)、ビッグデータ、ウェアラブルテクノロジーが医療に変革をもたらし、医師一人ひとりがより多くの患者をケアできるようになると心の底から信じています。また、量子コンピューティング、AI、MR (複合現実)、ロボット工学、臓器の再構成、遺伝子工学、合成生物学における新たな発見が、私たちが想像もしなかった新しい可能性を見出すのに役立つでしょう。」(Babylon Healthの代弁者)

 

2.米国における医療市場の未来(3~5年後)をどう見ていますか?

▼Bellus 3D: 革新的なデジタルテクノロジーに適応していく

「医療業界は進化し続け、デジタルテクノロジーに適応できるようになっていくでしょう。Bellus3Dは患者体験の向上を目指し、医療業界の様々な企業と連携して顔面用の医療機器を開発・製造しています。」(ブロザン氏)

 

▼Makelab: テクノロジーとの連携がさらに深まる

「医療業界は革新的なテクノロジーとの連携を深めていくと思います。実際に3Dプリント技術がプロトタイピングツールとして広く受け入れられ始めてから、非常に機能的なデバイスが以前よりも早く市場に投入されるようになりました。弊社でもヘルスケアや医療業界のクライアントが増えています。工業デザイン出身者として、3Dプリントテクノロジーが医療に活用されるプロセスはワクワクしますし、メディカル・デザイナーの方と一緒に働けることに喜びを感じています。」(ぺルラ氏)

 

▼Babylon Health: 医療業界における自動化の加速と個別化された医療

「今後私たちの未来に何が待ち受けているかは分かりませんが、医療業界における可能性は計り知れません。向こう10年間で、自動化が大幅に進むでしょう。ウェアラブルデバイスは私たちの食生活の改善や運動量を増やすように促すだけでなく、健康状態を監視して、自覚症状が出る前に病気にかかっていることを通知してくれるようになります。AIは病気のサインを即座に検出し、生活の改善を促すか、もしくは医師への相談が必要かを判断します。医師は患者の情報をすぐに確認することができるようになり、また、AIは症状や患者の情報から考えられる原因や、可能性のある稀なケースについてもアドバイスや注意喚起をしてくれるでしょう。さらに治療が効果的に作用しているかどうかを監視して、問題がある場合は医師に知らせ、患者が完全に健康を取り戻し良好な状態を維持できるようにサポートします。まさにこれらは個別化された医療であり、良心的な費用で世界中の誰もが利用しやすい、理想的な医療への大きな一歩となるでしょう。」(Babylon Healthの代弁者)

 

 

エキスパートの企業紹介
■Bellus3D
https://www.bellus3d.com/
2015年にシリコンバレーで設立された、高解像度3D顔面スキャンの革新的リーダー的企業。同社の使命は、顔面用製品を製造する企業や個人に対して、簡単で迅速かつ手頃な価格で3D顔面スキャンサービスを提供することにより、パーソナライズ化された製品を実現すること。歯科、眼鏡類、医療、化粧品、3Dプリンティングなどの(特定のニーズをもつ)垂直市場と連携し、高度にパーソナライズされた製品をエンドクライアントに届ける手助けする。

■Makelabhttps://makelab.nyc/
2015年にニューヨークで設立された急成長中の3Dプリント企業。最も信頼性の高い3Dプリントサービスを提供し、顧客が作成、反復、プロトタイプをよりスムーズに行えるようサポート。あらゆる規模の企業と提携し、製品開発サイクルの迅速化に貢献している。

 

■Babylon Healthhttps://www.babylonhealth.com/
テレヘルス業界のキープレイヤーとして知られるBabylon Healthは、ロンドンを拠点に2013年に設立された。安価な医療サービスを全世界に届けて人々の健康を守ることをビジョンに掲げ、イギリス、アメリカ、カナダ、ルワンダに加えアジア太平洋および中東の複数の国でサービスを展開する。二次医療に完全に統合されたデジタルファーストのプライマリーヘルスケアのプロバイダーとして、治療よりも予防​​を優先したサービスを提供している。同社のアプリをベースにしたサービスは24時間365日アクセス可能。ユーザーがAI搭載型チャットボットに伝えると、人間の医師の代わりに症状を分析し、適切な医療診断を行う。医師とのビデオ診察や医療機関での診察予約をすることもできる。

 

翻訳・記事作成:西條有香/Nichibei Marketing, LLC

 

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